2022年8月4日木曜日
脊髄損傷にヒトにおいて,皮質脊髄−運動の神経可塑性は運動を介した回復を促進する Brain2020
2022年7月18日月曜日
動物モデルとヒトのモデルにおける末梢神経損傷後の軸索再生を強化するための電気刺激 Neurotherapeitics 2016
抄録
損傷を受けた末梢神経は失った軸索を再生するが,ヒトにおいては機能回復は思わしくないことが多い.これは,とくに損傷が長い距離/長期間をかけて再生が必要なときにとくに当てはまる.慢性的に脱神経された筋の脂肪への置換はよく受け入れられた説明であるが,機能回復が不良であることを説明しない.むしろ神経再生の不良についての根拠は成長関連遺伝子の一過性の発現であり,経時的なニューロンの再生能とSchwann細胞の再生補助の能力を低下させることを説明する.短時間の低周波数の電気刺激は,損傷部位を超える運動・感覚の軸索突起を促進し,動物モデルや患者において,損傷した神経の遅延した外科的修復術後であっても,神経再生と標的の神経再支配を促進する.刺激は,ニューロンのcAMPを上昇させ,続いて神経栄養因子とその他の成長関連遺伝子の発現を増加させる.これには細胞骨格タンパクが含まれる.神経切断や外科的修復術直後の脱神経した筋の電気刺激は筋の神経再支配も促進するが,同時に,1日に必要な持続時間の長い電気パルスをどのように筋に与えることができるかは,患者への応用に先立つ実用上の問題である.最後に,自家神経移植片を挿入する技術は,ドナーの神経とレシピエントの近接した脱神経した神経断端をつないで遅延した神経修復後の神経支配を有意に改善し,ドナーの神経は脱神経したSchwann細胞の神経再生を補助する能力を維持する.これらのレビューした方法は,神経損傷や外科的修復後に,神経再生を促進し,さらには機能的回復を強化する方法であり,臨床への早期応用に関して有望である.
2022年1月11日火曜日
反復経頭蓋磁気刺激:咽頭嚥下障害を治療するための新しいアプローチ Curr Gastroentereol Rep 2016
抄録 近年,反復経頭蓋磁気刺激は,ヒトの中枢神経刺激を生じさせるために用いられる技術であり,ますます関心を集めるようになり,嚥下障害の治療において実験的に適用されてきた.このレビューでは,嚥下障害に関する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の応用に関する現時点での研究の概要を提示する.ここで,我々は,rTMSの効果の基礎となる機序と,健常被験者と嚥下障害の患者の両方のおける研究からの結果をレビューする.嚥下障害に関する臨床研究は,主に脳卒中後の嚥下障害に着目されてきた.我々は,研究間の大きな違いのために,この神経刺激法の有効性についての結論を導くことがなぜ難しいかを議論する.ここで関心の対象となっているのは,嚥下障害のリハビリテーションについての実地診療への移行に先立って,嚥下障害の患者に対するrTMSの応用についてまだ研究されていない潜在的な研究上の疑問を刺激することである.
2022年1月3日月曜日
脊髄損傷患者の神経因性膀胱 Res Rep Urol 2015
2021年12月13日月曜日
脳卒中患者における歩行パラメータに対する固有覚神経筋促通法(PNF)の有効性:系統的レビュー APMR 2019
目的:脳卒中患者における歩行パラメータに対する固有角神経筋促通手技(PNF)の有効性に関する現時点でのエビデンスをレビューする.
データソース:CINAHL,MEDLINE,PubMed,the Physiotherapy Evidence Databaseの電子プラットフォームを,関連する検索語を用いて検索した.
研究の選択:歩行パラメータを評価項目として扱い,脳卒中後の集団にPNF手技が用いられている介入研究をレビューした.研究は両方の著者によって調査され統一見解に達した.文献検索から84篇の研究が見つかった.スクリーニング後,このレビューのための対象基準に合致したのは5研究だった.
データ抽出:データは両方の著者によって研究から抽出され,独立して調査された.方法論的室はランダム化比較試験のPhysiotherapy Evidence Databaseスケールと,非ランダム化比較試験についてはthe Quality Assessment Tool for Quantitative Studiesを用いて評価した.
データ統合:PNF手法を用いた治療すべての研究で,脳卒中患者における歩行の評価項目において統計学的有意に至った.研究のうちの3篇では,PNF手技で治療されたグループは,通常の理学療法を受けたグループよりも大きな改善を生じたこともみとめた.
結論:研究の方法論的質においていくつかの限界も見つかったが.現時点での研究では,PNFは脳卒中患者における歩行パラメータの改善のための有効な治療であることが示唆された.この領域における強固なエビデンスを構築するために将来の研究が必要である.
2021年11月29日月曜日
一過性脳虚血発作と軽症脳梗塞の患者における二次予防のためのサポートプログラム(INSPiRE-TMS):オープンラベル・ランダム化比較対照試験 Lancet Neurol 2020
一過性脳虚血発作と軽症脳梗塞の患者における二次予防のためのサポートプログラム(INSPiRE-TMS):オープンラベル・ランダム化比較対照試験
サマリー
背景 直近の脳卒中や一過性脳虚血発作の患者は,さらなる血管イベントに関してハイリスクであり,永続的な障害や死亡をもたらすかもしれない.二次予防のためのエビデンスに基づいた治療は利用できるが,多くの患者が推奨された行動変容を達成できず,長期における薬剤の予防目標に達することがない.我々は,二次予防の強化のためのサポートプログラムが,再発性血管イベントの頻度を減少させることができるかどうかを調査すること目的とした.
方法 INSPiRE-TMSは,ドイツの急性脳卒中ユニットのある病院とデンマークの脳卒中センター7施設で行われたオープンラベル・多施設・国際ランダム化比較対照試験である.研究参加から2週間以内の障害のない脳卒中または一過性脳虚血発作で,1つ以上の修正可能なリスクファクター(つまり,高血圧症,糖尿病,心房細動,喫煙)の患者を対象とした.コンピュータでのランダム化を用いて,患者を従来の治療にサポートプログラムの追加と従来治療のみに割り付けた(1:1).サポートプログラムは二次予防の目標へのアドヒアランスを改善させることを目的とした2年間にわたるフィードバックとモチベーションを高めるインタビューの戦略と8回の外来受診を用いた.主要評価項目は脳卒中,急性冠症候群,血管死の合計であり,治療企図解析(ランダム化を受け,研究参加を中止せず,少なくとも1回の追跡評価を受けた患者全員)で評価した.評価項目は,time-to-first-event解析を用いて毎年の追跡で評価した.すべての原因での死亡を安全性の評価項目としてモニターした.この試験はClinicalTrials.govに登録された.
知見 2011年8月22日から2017年10月30日まで,我々は2098人の患者を参加させた.そのうち,1048人(50.0%)がランダムにサポートプログラム群に割り付けられ,1050人(50.0%)が従来治療群に割り付けられた.サポートプログラム群の1030人(98.3%),従来治療群の1042人(99.2%)が治療企図解析で対象となった.解析された参加者の平均年齢は67.4歳で700人(34%)が女性だった.平均追跡期間3.6年のあと,大血管イベントの主要評価項目はサポートプログラム群の1030人のうち163人(15.8%)に生じ,従来治療群の1042人のうち175人(16.8%)に生じた(オッズ比0.92;95%信頼区間0.75-1.14).大血管イベントの合計の数はサポートプログラム群では209人,従来治療群では 225人(発生率の比0.93,95%信頼区間0.77-1.12;p=0.46)で,すべての原因の死亡はサポートプログラム群では73人(7.1%),従来治療群では85人(8.2%)に生じた(ハザード比0.85;95%信頼区間0.62-1.17).サポートプログラム群では,二次予防の目標に達した患者が多かった(例えば,1年間の追跡で血圧52%対42%[p<0.001],LDLで62%対54%[p=0.0010],身体活動で33%対19%[p<0.0001],禁煙で51%対34%[p=0.0010]).
解釈 障害のない脳卒中または一過性脳虚血発作の患者における強化した二次予防プログラムの提供は,二次予防の目標達成を改善したが,大血管イベントの発生率の有意な低下には結びつかなかった.退院後にすぐに二次予防の目標を達成しない患者の選択で,サポートプログラムの効果を調査するような将来の研究が必要である.
2021年11月2日火曜日
嚥下障害のある急性脳卒中後の経皮的内視鏡的胃瘻造設術と経鼻胃管チューブの無作為・前方視的比較 BMJ 1996
嚥下障害のある急性脳卒中後の経皮的内視鏡的胃瘻造設術と経鼻胃管チューブの無作為・前方視的比較
目的−嚥下障害のある急性脳卒中後において経皮的内視鏡的胃瘻造設術と経鼻胃管チューブを比較すること.
デザイン−経腸栄養を必要とする急性脳卒中の入院患者のランダム化前方視的研究.
条件−大学病院1施設(ノッティンガム)と地域の一般病院1施設(ダービー).
対象−急性脳卒中から14日後に持続的な嚥下障害のある患者30人:16人が胃瘻栄養に,14人が経鼻胃管栄養に割り付けられた.
主要評価項目−6週間の死亡率;投与した栄養量;栄養状態の変化;治療の不成功;在院日数.
結果−6週後の死亡率は,胃瘻群は2人(12%)で,経鼻胃管群の8人(57%)よりも有意に低かった(P<0.05).胃瘻で栄養投与された患者(16人)はすべて,処方された栄養すべて投与されたが,一方,経鼻胃管の患者の10/14 (71%)は1日以上の栄養を喪失した.経鼻胃管の患者は,処方された栄養のうち,投与された栄養量が胃瘻群(100%)と比べて有意に少なかった(78%; 95%信頼区間63%-94%).胃瘻から栄養投与された患者は,経鼻胃管群と比べて,6週目でのいくつかの異なる基準に従って,栄養状態により大きな改善を示した.胃瘻群では平均アルブミン血中濃度が27.1g/L(20.7g/L〜23.9g/L)から31.4g/L (28.6g/L〜34.2g/L)に上昇した(P<0.003).さらに,胃瘻群では,治療不成功がより少なかった(0/16対3/14).胃瘻群から6人の患者が手順の6週間以内に退院し,対して,経鼻胃管群では0だった(P<0.05).
結論−この研究から,早期の胃瘻栄養が,経鼻胃管栄養よりも優れていることが示され,急性期の嚥下障害のある脳卒中患者に対する栄養療法の選択肢となるべきである.