2022年1月11日火曜日

反復経頭蓋磁気刺激:咽頭嚥下障害を治療するための新しいアプローチ Curr Gastroentereol Rep 2016

 


反復経頭蓋磁気刺激:咽頭嚥下障害を治療するための新しいアプローチ












抄録 近年,反復経頭蓋磁気刺激は,ヒトの中枢神経刺激を生じさせるために用いられる技術であり,ますます関心を集めるようになり,嚥下障害の治療において実験的に適用されてきた.このレビューでは,嚥下障害に関する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の応用に関する現時点での研究の概要を提示する.ここで,我々は,rTMSの効果の基礎となる機序と,健常被験者と嚥下障害の患者の両方のおける研究からの結果をレビューする.嚥下障害に関する臨床研究は,主に脳卒中後の嚥下障害に着目されてきた.我々は,研究間の大きな違いのために,この神経刺激法の有効性についての結論を導くことがなぜ難しいかを議論する.ここで関心の対象となっているのは,嚥下障害のリハビリテーションについての実地診療への移行に先立って,嚥下障害の患者に対するrTMSの応用についてまだ研究されていない潜在的な研究上の疑問を刺激することである.

2022年1月3日月曜日

脊髄損傷患者の神経因性膀胱 Res Rep Urol 2015

 


脊髄損傷患者の神経因性膀胱  Res Rep Urol 2015

抄録:脊髄損傷に起因する神経因性膀胱機能不全は,患者の幸福に重大な脅威となる.失禁,腎障害,尿路感染,結石,QOLの低下は,この病態の合併症である.患者の大部分は膀胱の低圧蓄尿機能と完全な排尿,禁制を確保できるような管理が必要になるだろう.治療は,典型的には抗コリン作用のある薬剤と清潔間欠導尿で開始する.無効だったり忍容できないといった理由でこの治療がうまくいかない患者はもっと侵襲的な手技のスペクトラムの候補となる.膀胱排出抵抗を軽減するような内視鏡的治療には,括約筋切除術,ボツリヌス毒素注射,ステント挿入,スリング手術,人工的括約筋移植がある.協調された膀胱排泄は,選別された患者ではニューロモデュレーションによって可能である.腸の一部が用いられることの多い膀胱拡大術や尿路変更手術は最終手段である;しかしながら,臨床的膀胱管理における,その役割はいまだに進化している.このレビューでは,我々は,脊髄損傷の患者における神経因性膀胱機能不全の病態と管理に関連する現時点での文献をまとめる.

2021年12月13日月曜日

脳卒中患者における歩行パラメータに対する固有覚神経筋促通法(PNF)の有効性:系統的レビュー APMR 2019

 


脳卒中患者における歩行パラメータに対する固有覚神経筋促通法(PNF)の有効性:系統的レビュー







抄録
目的:脳卒中患者における歩行パラメータに対する固有角神経筋促通手技(PNF)の有効性に関する現時点でのエビデンスをレビューする.
データソース:CINAHL,MEDLINE,PubMed,the Physiotherapy Evidence Databaseの電子プラットフォームを,関連する検索語を用いて検索した.
研究の選択:歩行パラメータを評価項目として扱い,脳卒中後の集団にPNF手技が用いられている介入研究をレビューした.研究は両方の著者によって調査され統一見解に達した.文献検索から84篇の研究が見つかった.スクリーニング後,このレビューのための対象基準に合致したのは5研究だった.
データ抽出:データは両方の著者によって研究から抽出され,独立して調査された.方法論的室はランダム化比較試験のPhysiotherapy Evidence Databaseスケールと,非ランダム化比較試験についてはthe Quality Assessment Tool for Quantitative Studiesを用いて評価した.
データ統合:PNF手法を用いた治療すべての研究で,脳卒中患者における歩行の評価項目において統計学的有意に至った.研究のうちの3篇では,PNF手技で治療されたグループは,通常の理学療法を受けたグループよりも大きな改善を生じたこともみとめた.
結論:研究の方法論的質においていくつかの限界も見つかったが.現時点での研究では,PNFは脳卒中患者における歩行パラメータの改善のための有効な治療であることが示唆された.この領域における強固なエビデンスを構築するために将来の研究が必要である.

2021年11月29日月曜日

一過性脳虚血発作と軽症脳梗塞の患者における二次予防のためのサポートプログラム(INSPiRE-TMS):オープンラベル・ランダム化比較対照試験 Lancet Neurol 2020

 











一過性脳虚血発作と軽症脳梗塞の患者における二次予防のためのサポートプログラム(INSPiRE-TMS):オープンラベル・ランダム化比較対照試験














サマリー

背景 直近の脳卒中や一過性脳虚血発作の患者は,さらなる血管イベントに関してハイリスクであり,永続的な障害や死亡をもたらすかもしれない.二次予防のためのエビデンスに基づいた治療は利用できるが,多くの患者が推奨された行動変容を達成できず,長期における薬剤の予防目標に達することがない.我々は,二次予防の強化のためのサポートプログラムが,再発性血管イベントの頻度を減少させることができるかどうかを調査すること目的とした.

方法 INSPiRE-TMSは,ドイツの急性脳卒中ユニットのある病院とデンマークの脳卒中センター7施設で行われたオープンラベル・多施設・国際ランダム化比較対照試験である.研究参加から2週間以内の障害のない脳卒中または一過性脳虚血発作で,1つ以上の修正可能なリスクファクター(つまり,高血圧症,糖尿病,心房細動,喫煙)の患者を対象とした.コンピュータでのランダム化を用いて,患者を従来の治療にサポートプログラムの追加と従来治療のみに割り付けた(1:1).サポートプログラムは二次予防の目標へのアドヒアランスを改善させることを目的とした2年間にわたるフィードバックとモチベーションを高めるインタビューの戦略と8回の外来受診を用いた.主要評価項目は脳卒中,急性冠症候群,血管死の合計であり,治療企図解析(ランダム化を受け,研究参加を中止せず,少なくとも1回の追跡評価を受けた患者全員)で評価した.評価項目は,time-to-first-event解析を用いて毎年の追跡で評価した.すべての原因での死亡を安全性の評価項目としてモニターした.この試験はClinicalTrials.govに登録された.

知見 2011年8月22日から2017年10月30日まで,我々は2098人の患者を参加させた.そのうち,1048人(50.0%)がランダムにサポートプログラム群に割り付けられ,1050人(50.0%)が従来治療群に割り付けられた.サポートプログラム群の1030人(98.3%),従来治療群の1042人(99.2%)が治療企図解析で対象となった.解析された参加者の平均年齢は67.4歳で700人(34%)が女性だった.平均追跡期間3.6年のあと,大血管イベントの主要評価項目はサポートプログラム群の1030人のうち163人(15.8%)に生じ,従来治療群の1042人のうち175人(16.8%)に生じた(オッズ比0.92;95%信頼区間0.75-1.14).大血管イベントの合計の数はサポートプログラム群では209人,従来治療群では 225人(発生率の比0.93,95%信頼区間0.77-1.12;p=0.46)で,すべての原因の死亡はサポートプログラム群では73人(7.1%),従来治療群では85人(8.2%)に生じた(ハザード比0.85;95%信頼区間0.62-1.17).サポートプログラム群では,二次予防の目標に達した患者が多かった(例えば,1年間の追跡で血圧52%対42%[p<0.001],LDLで62%対54%[p=0.0010],身体活動で33%対19%[p<0.0001],禁煙で51%対34%[p=0.0010]).

解釈 障害のない脳卒中または一過性脳虚血発作の患者における強化した二次予防プログラムの提供は,二次予防の目標達成を改善したが,大血管イベントの発生率の有意な低下には結びつかなかった.退院後にすぐに二次予防の目標を達成しない患者の選択で,サポートプログラムの効果を調査するような将来の研究が必要である.

2021年11月2日火曜日

嚥下障害のある急性脳卒中後の経皮的内視鏡的胃瘻造設術と経鼻胃管チューブの無作為・前方視的比較 BMJ 1996

 

嚥下障害のある急性脳卒中後の経皮的内視鏡的胃瘻造設術と経鼻胃管チューブの無作為・前方視的比較

















抄録
目的−嚥下障害のある急性脳卒中後において経皮的内視鏡的胃瘻造設術と経鼻胃管チューブを比較すること.
デザイン−経腸栄養を必要とする急性脳卒中の入院患者のランダム化前方視的研究.
条件−大学病院1施設(ノッティンガム)と地域の一般病院1施設(ダービー).
対象−急性脳卒中から14日後に持続的な嚥下障害のある患者30人:16人が胃瘻栄養に,14人が経鼻胃管栄養に割り付けられた.
主要評価項目−6週間の死亡率;投与した栄養量;栄養状態の変化;治療の不成功;在院日数.
結果−6週後の死亡率は,胃瘻群は2人(12%)で,経鼻胃管群の8人(57%)よりも有意に低かった(P<0.05).胃瘻で栄養投与された患者(16人)はすべて,処方された栄養すべて投与されたが,一方,経鼻胃管の患者の10/14 (71%)は1日以上の栄養を喪失した.経鼻胃管の患者は,処方された栄養のうち,投与された栄養量が胃瘻群(100%)と比べて有意に少なかった(78%; 95%信頼区間63%-94%).胃瘻から栄養投与された患者は,経鼻胃管群と比べて,6週目でのいくつかの異なる基準に従って,栄養状態により大きな改善を示した.胃瘻群では平均アルブミン血中濃度が27.1g/L(20.7g/L〜23.9g/L)から31.4g/L (28.6g/L〜34.2g/L)に上昇した(P<0.003).さらに,胃瘻群では,治療不成功がより少なかった(0/16対3/14).胃瘻群から6人の患者が手順の6週間以内に退院し,対して,経鼻胃管群では0だった(P<0.05).
結論−この研究から,早期の胃瘻栄養が,経鼻胃管栄養よりも優れていることが示され,急性期の嚥下障害のある脳卒中患者に対する栄養療法の選択肢となるべきである.

2021年9月20日月曜日

脳卒中後けいれんの治療のための抗てんかん薬のランダム化比較対照試験:ネットワークメタ解析でのシステマティックレビュー Seizure 2018

 









脳卒中後けいれんの治療のための抗てんかん薬のランダム化比較対照試験:ネットワークメタ解析でのシステマティックレビュー











目的:脳卒中後のけいれんやてんかんを治療するために用いられる抗てんかん薬の有効性と忍容性に関する最良の参照可能なエビデンスを決定すること.
方法:MEDLINE,Embase,CENTRAL,ClinicalTrials.gov.およびOpengrey.euで,脳卒中後てんかんを治療するために用いられる抗てんかん薬のランダム化比較対照試験について検索した.以下の評価項目を検討した:無発作;有害作用の発生;有害作用による中止.方法論的な質は,the Cocherane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsにしたがって評価した.共通の比較対象としてカルバマゼピン徐放製剤(CR-CBZ)を用いて,各抗てんかん薬の間で
調整間接比較を行った.
結果:対象となったランダム化比較対照試験は2篇だけであり,1篇はレベチラセタム(LEV)とCR-CBZを比較し,他方はラモトリギン(LTG)をCR-CBZと比較した.LEVまたはLTGはCR-CBZと比較して,無発作において有意差はみとめなかった.有害作用の発生は,LEVおよびLTGではCR-CBZと比べて少なかった.間接比較では,無発作に関して,LEVとLTGの間に差は示されなかった(オッズ比0.86;95%m信頼区間0.15-4.89).有害作用の発生は,LEVではLTGよりも多かった(オッズ比6.87;95%信頼区間1.15-41.1).有害作用による中止については,得られたオッズ比10.8に,幅広く非対称な信頼区間をみとめた(95%信頼区間0.78-149.71).
結論:種々の抗てんかん薬の間に,直接比較・間接比較から無発作においては差がみとめられなかった.恐らくは対象とした患者数が少ないためだろう.LEVとLTGはCR-CBZよりも忍容性が良好と思われ,LEVはLTGよりも有害作用を伴うようである.脳卒中後てんかんを治療するための抗てんかん薬の有効性と忍容性の強固なエビデンスを提供するためにさらなる研究が必要である.

2021年8月30日月曜日

脳梗塞急性期とハイリスクTIAにおけるクロピドグレルとアスピリン NEJM2018

 

脳梗塞急性期とハイリスクTIAにおけるクロピドグレルとアスピリン















抄録

背景

クロピドグレルとアスピリンの抗血小板剤併用療法は,軽症脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)後の最初の3ヶ月の間の最初の割合を減少させるかもしれない.中国人の集団における抗血小板剤併用療法の試験では脳卒中再発のリスクの減少が示された.我々は,国際的な集団でこの併用療法を試験した.

方法

我々は,ランダム化試験で軽症脳梗塞またはハイリスクTIAの患者を,初日にクロピドグレル600mgの初回投与量,その後は75mg/日とアスピリン(50-325mg/日)を服用する群と,同じ範囲の投与量のアスピリン単独に割り付けた.各群のアスピリンの用量は,施設の研究者によって選択された.時間生存解析における主要有効性評価項目は,主要虚血イベントのリスクの合計であり,これは90日目での脳梗塞,心筋梗塞,虚血性血管イベントによる死亡と定義した.

結果

各国の269の施設で合計4881人が参加した.試験は,患者の予想数の84%が参加した後で中止した.なぜなら,データ安全性監視委員会が,クロピドグレルとアスピリンの併用はアスピリン単独よりも90日目の主要虚血イベントのリスク低下と重篤な出血のリスク増大と関連すると判断したからである.主要虚血イベントは,クロピドグレルとアスピリンを投与された2432人の患者の121人(5.0%)に生じ,アスピリンとプラセボを投与された2449人のうち160人(6.5%)に生じ(ハザード比0.75;95%信頼区間0.59-0.95; P=0.02),ほとんどのイベントは最初のイベントから1週間の間に生じた.重篤な出血は,クロピドグレルとアスピリンを投与された患者のうち23人(0.9%)に生じ,アスピリンとプラセボと投与された患者のうち10人(0.4%)に生じた(ハザード比2.32;95%信頼区間1.10-4.87;P=0.02).

結論

軽症脳梗塞またはハイリスクTIAの患者において,クロピドグレルとアスピリンの併用を受けた患者は,アスピリン単独を受けた患者よりも,90日目の主要虚血イベントのリスクが低下したが,重篤な出血のリスクは増大した.