2015年3月28日土曜日

American Congress of Rehabilitation Medicine Stroke Movement Interventions Sucommitteeからの足関節背屈補助および装具の代替品のための治療的電気刺激のレビュー










American Congress of Rehabilitation Medicine Stroke Movement Interventions Sucommitteeからの足関節背屈補助および装具の代替品のための治療的電気刺激のレビュー











抄録
歩行を妨げる足関節背屈の麻痺は脳卒中の患者の約30%に生じ,転倒や死亡の危険を高める.機能的電気刺激や装具代替電気刺激歩行器具の最近の進歩により,治療的な歩行訓練の期間での使用や装具の代替品としての表面電気刺激の使用が増えている.しかしながら,このような装具代替電気刺激の使用を促進できるはずのセラピストの多くがそうはしない.恐らくは,装置についての知識がないことや,どのような患者にこの装置の効果があるのかが不確かなせいであろうが,あるいは,保険会社によっては支払いをしないことも理由になっているだろう.加えて,装具代替電気刺激器具の治療的な使用や従来の短下肢装具(AFO)の代用品としての使用についてのエビデンスは限定的である.この記事では,装具代替電気刺激装置の使用について臨床家をガイドするような情報を提供し,治療的または装具としての目的での装具代替電気刺激装置の使用についての最近の研究を議論し,装具代替電気刺激装置とAFOの使用を比較する.現在のところ,装具代替電気刺激装置を着用した歩行が,AFOを着用した歩行よりも優れていると結論付けるだけの十分なエビデンスはないが,患者によっては,装具代替電気刺激装置は最適な選択肢となるかもしれない.

2015年3月24日火曜日

痙縮は脳卒中後の歩行不全に関与しているのか?

痙縮は脳卒中後の歩行不全に関与しているのか?







































抄録
目的ー臨床的に下腿の筋の痙縮は脳卒中後の歩行を阻害するとみなされている.目的は,脳卒中発症から数ヶ月後の歩行可能な脳卒中患者のグループにおける腓腹筋の痙縮の歩行障害への関与を評価して,この仮定を調べることである.
方法ー歩行が自立している脳卒中患者14人と,神経学的に健常なコントロールの被験者15人を募集した.歩行を模した条件下での安静時と動作時の腓腹筋の伸張反射を調べた.痙縮を評価するために安静時の緊張性伸張反射を測定し,一方,動作時の緊張性伸張反射は歩行障害への痙縮の潜在的な関与を評価するために測定した.
結果ー脳卒中患者の2/3に,痙縮を示唆するような安静時の緊張性伸張反射をみとめた.一方,コントロールにはまったくみとめなかった.しかしながら,脳卒中患者は動作時の緊張性伸張反射はコントロールと同程度にみとめ,このことは歩行中の反射の活動はコントロールの被験者と変わらないことを示唆する.さらに,脳卒中患者の動作時の伸張反射はコントロールの被験者よりも伸長へのより強い抵抗に関与していた.
結論ーほとんどの脳卒中患者で臨床的な評価でも病態生理学的な評価でも痙縮をみとめたが,動作時の緊張性伸張反射の増悪による背屈への抵抗増大はみとめなかった.脳卒中後の歩行において,歩ける患者では痙縮が歩行の問題にはなっていないだろうと結論づけた.それゆえ,脳卒中リハにおいて機能的改善を得るためにルーチンに反射反応を軽減したり抑制したりするのは適切ではないだろう.患者に適切な治療を提供するために脳卒中後の歩行を分析するときは痙縮以外の因子考慮すべきである.

2015年3月19日木曜日

膝つっぱり歩行を呈する痙縮を伴う脳卒中患者の歩行コントロールにおけるボツリヌス毒素注射の効果 Gait & Posture 2009







膝つっぱり歩行を呈する痙縮を伴う脳卒中患者の歩行コントロールにおけるボツリヌス毒素注射の効果

















抄録
緒言:A型ボツリヌス毒素(BoNT-A)注射は,膝つっぱり歩行を呈した痙性片麻痺の脳卒中患者における歩行障害と活動を改善させることが知られている.この研究の目的は,BoNT-A注射後に,歩行中の機械的変数の改善がどのように中枢神経系にコントロールされているかを理解することである.それゆえ,我々は,その歩行のコントロールへの影響を評価するためにKinematic Segmental Coodination(KSC),つまり下肢の分節の間の仰角の運動学的共変動の規則性を用いた.我々の知る限り,これは過去に研究されたことはない.
方法:膝つっぱり歩行を呈する脳卒中慢性期の片麻痺患者20人が,BoNT-Aをいくつかの痙縮の筋に注射する前と2ヶ月後に,機械的計測での歩行解析を同じ歩行速度で行った.我々は,Catyらが過去に収集した運動学的記録を使用し,Borgheseの方法にしたがってコンピュータ処理したKSCを用いた.治療効果は反復測定での分散分析を用いて検定した.
結果:BoNT-A注射は両下肢のKSCにおける統計学的な有意な改善をもたらした(p=0.004).さらに非障害側のKSCはBoNT-A後には正常値となった.
結論と考察:BoNT-Aは障害側の下肢のKSCを改善し,非障害側の下肢のKSCを正常化した.この改善は機械的な効果かもしれないし,脊髄の中枢パターン発生器(CPGs)を介したBoNT-Aの中枢への効果かもしれない.



2015年3月16日月曜日

痙性麻痺の病態生理 Muscle & Nerve 2005











痙性麻痺の病態生理I:不全麻痺と軟部組織の変化












痙性麻痺の病態生理II:筋過活動の発生


少し古い文献であるが,痙性麻痺および痙縮について詳細かつわかりやすくまとめられている.
講演会などでもよく目にするし,私もセラピスト相手の勉強会でもよく使わせてもらっている重要な文献である.

中枢神経損傷後の筋緊張亢進は,痙縮として記載される病態だけでなく,痙性共収縮や痙性ジストニアといった病態を含んだ複雑な症候群であることを理解する必要がある.

筋緊張亢進・痙縮は中枢神経リハにおいて永遠のテーマである.近年,ボツリヌス毒素療法やバクロフェン髄注療法といった治療法の登場により,これらは治療可能な病態になってきた.しかしながら,単に”筋の固さ”だけを相手にしていては適切な治療はおぼつかない.

少なくともリハ専門医であれば,このような病態を理解した上で治療戦略を考えていきたいものである.

全文訳はこちら(第1章・第2章がまとめてzipになっています).
パスワードはタイトルの1行目の単語の頭文字をつなげてください.
例:Imagine All The People -> IATP

2015年3月15日日曜日

脳卒中後の下垂足刺激と足関節装具 30週間での評価 Stroke2013

 脳卒中後の下垂足刺激と足関節装具

30週間での評価

背景と目的ー脳卒中後の下垂足は足関節装具(AFO)または下垂足刺激装置(FDS)を用いて治療されるかもしれない.The Functional Ambulation:Treatment versus Electric Stimulation Therapy(FASTEST)試験は,脳卒中発症から3ヶ月以上,歩行速度でFDSとAFOを比較した多施設・ランダム化・単盲検化試験である.
方法ー参加者(197人;女性79人,男性118人;61.14 ±11.61歳;脳卒中発症後4.55 ±4.72年)はFDSかAFOのどちらか30週間にランダムに割り当てられた.試験の最初の年6週間の間に両群に8回の同程度の量の理学療法を実施した.
結果ー両群でベースラインから30週の間で,快適な歩行速度(変化の平均に対する95%信頼区間;FDS0.11〜0.17m/s,AFO0.12〜0.18m/s)および速い歩行速度に有意な改善をみとめた.しかしながら,群間比較においては歩行速度に有意差をみとめなかった.二次評価項目(身体構造および機能,活動,参加の標準的評価)は両群とも有意に改善したが,一方,使用満足度はFDS群がコントロール群よりも有意に高かった.
結論ー30週間のFDSまたはAFOの使用は,歩行速度や他の機能評価項目において臨床的かつ統計学的に有意な改善を示した.使用満足度はFDS群がより高かった.両群とも介入を受けたけれども,この大規模臨床試験では,初期に理学療法セッションを併用したFDSまたはAFOが脳卒中発症から数年を経過していても,統計学的に有意で臨床的に意味のある効果をもたらすというエビデンスが得られた.

2015年3月12日木曜日

脳卒中患者における歩行速改善に対する機能的・経費電気刺激の治療効果:メタ解析

 
脳卒中患者における歩行速改善に対する機能的・経費電気刺激の治療効果:メタ解析






































目的:脳卒中後の被験者における歩行速度改善に対する機能的電気刺激(FES)と経皮的電気刺激(TENS)でのこれまでの治療の効果を判定する.
データソース:Medline,EMBASE,CINHAL,PubMedのデータベースで1966年から2005年までで検索し,関連文献を得た.
研究の選別:脳卒中後の患者の治療に電気刺激を用いていて,評価項目に歩行速度を用いているものを対象とした.除外となった研究には,多様な神経疾患の被験者を調査した研究,埋め込み電極を用いた研究,電気刺激とトレッドミル訓練の併用の研究があった.著者らの間でのコンセンサスの一致で8篇の文献を選んだ.
データの抽出:固定効果モデルにより,変化の平均を計算し(0.18,95%信頼区間0.08〜0.28),これは有意だった(P<0.01).これは,脳卒中後の患者における歩行速度の向上について機能的電気刺激の有効性が示している.研究ごとの効果量は,FESでは−0.11〜1.43,TENSでは0.19〜0.42.FESとTENSの装置や電極の位置,刺激の時間,対象の回復時期の種類は研究ごとに差があった.
結論:FESは脳卒中後の患者における歩行速度向上に有効である.今後の研究では,脳卒中からの回復の亜急性期の患者で,機能を改善させるような臨床的で利用可能なFESユニットの有効性を調べるべきである.このような研究では,盲検化し,標準的な評価項目を用いたランダム化比較対照試験を用いるように心がけるべきである.

2015年3月9日月曜日

2. 脳卒中による失語症の言語機能回復の核磁気共鳴神経画像の進歩:技術のレビュー

脳卒中による失語症の言語機能回復の核磁気共鳴神経画像の進歩:技術のレビュー




































抄録
2つの磁気共鳴神経画像技術の進歩,つまり機能的MRI(fMRI)と拡散テンソル画像(DTI)は,近年になって臨床に指向した研究に用いられるようになり,それぞれ脳卒中失語症後の脳の機能・構造の適応変化の研究する上で大いに有望である.このような機能的・構造的神経可塑性は,言語機能の回復の背景にあると考えられており,治療介入の文脈とともに,あるいは自動的に生じる.fMRIを用いて,脳の活動を画像化できる.自動的な脳の活動は,多数の脳のネットワークに存在し,安静時のfMRIとして評価され,言語に関連した脳の活動(task-based fMRI)は対象にスキャン中に言語課題を実行させて評価する.DTIを用いると,背側・腹側言語経路や交連線維のような白質の経路を視覚化して定量評価できる.両方ともまったくの非侵襲的で,このように同じ対象で何度も評価を実施できるという,他にはない好条件がある.脳卒中後失語症の機能的・構造的な神経可塑性のさらなる知見を得るために,特定の患者群,つまり脳卒中後のいくつかの時期,言語回復の過程での最新の磁気共鳴神経画像の研究が必要である.このような研究は,言語機能の回復に役割を果たすような多くの因子の影響を明らかにする助けとなるだろう,そして失語症の治療をさらに発展させるために必要不可欠である.しかしながら,脳卒中による失語症の患者に,このような技術の適用するのは,課題がないわけではない.この記事の目的は,脳卒中後の失語の言語回復の評価におけるfMRIとDTIの方法論的な課題を議論することである.


2015年3月5日木曜日

下肢不全片麻痺における運動再学習のための腓骨神経表面刺激のランダム化比較対照試験



下肢不全片麻痺における運動再学習のための腓骨神経表面刺激のランダム化比較対照試験

 











抄録
目的ー脳卒中慢性期患者において,下肢運動障害,活動制限,QOLへの効果への運動再学習の効果を腓骨神経表面刺激と通常の治療で比較する.
デザインー単盲検化ランダム化比較対照試験.
環境ー学術センターの教育病院
参加者ー脳卒中慢性期患者(発症後12週以上)で,片麻痺があり,背屈筋力がMedical Research Council scaleで4/5以下の患者10人.
介入ー被検者は運動障害のレベルで階層化され,それから腓骨神経表面刺激または通常の治療(短下肢装具か装具なし)での歩行訓練にランダムに振り分けた.被検者は12週の治療を受け,治療から6ヶ月後に追跡調査された.
主要評価項目ーFugl-Meyer(FM)の下肢項目(運動障害),器具なしでのModified Emory Functional Ambulation Profile(mEFAP)(機能的歩行),Stroke Specific Quality of Life(SSQOL) scale.
結果ーFM,mEFAP,SSQOLの素点には時間の相互作用による群間の有意差はなかった(p>0.05).3つの素点に有意な時間効果があった(p<0.05).しかしながら,ベースライン(T1)から治療終了時(T2,12週後)および,治療終了から12週後(T3),24週後(T4)での変化の平均を比較すると,有意差はmEFAPとSSQOLのみにみとめた.mEFAPとSSQOLの平均値における差は,T1とT2の間で生じ,その後は比較的一定だった.
結論ーPNSと通常治療群の間で下肢運動障害における運動再学習効果のエビデンスはなかった.しかしながら,PNS群も通常治療群も,治療期間中に機能的歩行とQOLに有意な改善を示し,6ヶ月後の追跡調査でも維持された.

歩行の予後を改善させるための傾斜センサー制御による下垂足刺激装置での歩行訓練:脳卒中亜急性期患者でのランダム化比較対照試験の予備研究

歩行の予後を改善させるための傾斜センサー制御による下垂足刺激装置での歩行訓練:脳卒中亜急性期患者でのランダム化比較対照試験の予備研究










下垂足は神経系疾患において非常によくみられる問題である.神経筋電気刺激(NMES; Neuromuscular electrical stimulation)は,脳卒中患者で下垂足を矯正して歩行能力を改善させるような代替的なアプローチであることが示されてきた.本研究では,脳卒中亜急性期患者20人が参加し,ランダムに2群に分けられた:一方のグループはNMES(つまり,WalkAide群)を実施し,コントロール群は従来の神経運動リハを行った.両群の治療時間は同じにした.WalkAide群(168±39%)ではコントロール群(129±29%)よりも歩行速度が有意に大きく改善(P=0.032)し,また歩行能力も同様だった(Functional Ambulation Classification score: P=0.023).運動能力と筋力については,統計学的に有意でないまでも改善した(Rivermead Mobility Index: P=0.057; MMT:P=0.059).同様の群間の変化は,日常生活自立度,神経学的評価,痙縮の軽減にもみられた.このような結果は,脳卒中亜急性期の患者で足部の引きずりのある患者に対する,神経刺激装置での歩行訓練の有望な効果を強調するものである.


2015年3月4日水曜日

傾斜センサーによって制御される下垂足刺激装置の多施設研究

 傾斜センサーによって制御される下垂足刺激装置の多施設研究
























目的.傾斜センサーで制御される下垂足刺激装置の有効性と忍容性を評価する.方法.非ランダム化,テストー再テスト研究で,種々の中枢神経系の疾患に起因する下垂足が1年以上経過している患者26人で,4施設で少なくとも3ヶ月間実施された.直線での歩行速度,8の字での歩行速度,physiological cost index(PCI;生理的コスト指数)を装置の有無で測定した.装置を用いた時間/日と歩数/日を記録した.結果.2例を除いて,家ではフットスイッチよりも傾斜センサーを使用した.3ヶ月後,歩行速度は15%(26人;P<0.01),6ヶ月後は32%(16人;P<0.01),12ヶ月後は47%(8人;P<0.05)向上し,一方,PCIは低下した.(装置を)使用中の1日の歩数は継時的に有意に増加し,歩行速度の増大は使用と直接の相関があった.歩行速度はまた刺激がオフでも向上していたが,増加幅は小さかった.これは訓練効果を示す.質問表からの被験者のフィードバックでは刺激装置への満足度が示された.結論.慢性期の下垂足の対象で,刺激装置の有効性も忍容性も良好だった.

2015年3月2日月曜日

11. 失語症患者の健康関連QOLにおける重要な因子は何か?系統的レビュー


失語症患者の健康関連QOLにおける重要な因子は何か?系統的レビュー 






































抄録
目的:脳卒中後の失語症患者において,健康関連QOLの不良と関連がある因子,もしくは予測因子を決定すること.このような因子の理解をより深めることは,リハビリテーションプログラムのターゲットをよりよく決めることができる.
情報源:電子データベースで,医学(例えば,Mediline,Excerpta Medica Databese,Evidence-Based Medicine Reviews,Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature,Ovid,Allied and Complementary Medicine Database)と社会学(例えば,PsycINFO)を網羅したものを検索し,鍵となる専門家にアプローチした.
研究の選択:脳卒中後の失語症患者の健康関連QOLに特異的な情報を含む研究で,妥当性の確認されたQOL評価や質的データの分析に正当性の認められた方法を用いている研究を含めた.適格基準に対しては,2人の研究者が独立してスクリーニングした.
データ抽出:これは2人の研究者が独立して請け負った.不一致はコンセンサスをもって解消した.量的研究は,脳卒中急性期の予後予測モデルの系統的レビューのためのCounsell and Dennis' critical appraisal tool(CounsellとDeniisによる批判的評価ツール)で評価した.質的研究は,質的研究のためのCritial Appraisal Skills Program tool(批判的評価能力プログラムツール)で評価した.
データの統合:14研究が適格基準に適合した.(研究データが)非常に不均一だったので,データの統合は叙述的に行った.エビデンスは,失語症患者の健康関連QOLの主たる予測因子を決定するのに十分強力ではなかった.感情的なストレス/抑うつ,失語やコミュニケーション障害の重症度,他の医学的問題,活動制限,社会的ネットワークとサポートの側面は依然として重要な因子だった.
結論:感情的ストレス,失語の重症度,コミュニケーションや活動の制限,他の医学的問題,社会的要因が健康関連QOLに影響する.脳卒中の健康関連QOL研究には,失語症患者を含め,彼らは別に報告しなければならない.それは,このような患者の健康関連QOLの主たる予測因子を決定し,どのような介入がこの問題にもっともよく対応できるかを決定するためである.