2015年3月15日日曜日

脳卒中後の下垂足刺激と足関節装具 30週間での評価 Stroke2013

 脳卒中後の下垂足刺激と足関節装具

30週間での評価

背景と目的ー脳卒中後の下垂足は足関節装具(AFO)または下垂足刺激装置(FDS)を用いて治療されるかもしれない.The Functional Ambulation:Treatment versus Electric Stimulation Therapy(FASTEST)試験は,脳卒中発症から3ヶ月以上,歩行速度でFDSとAFOを比較した多施設・ランダム化・単盲検化試験である.
方法ー参加者(197人;女性79人,男性118人;61.14 ±11.61歳;脳卒中発症後4.55 ±4.72年)はFDSかAFOのどちらか30週間にランダムに割り当てられた.試験の最初の年6週間の間に両群に8回の同程度の量の理学療法を実施した.
結果ー両群でベースラインから30週の間で,快適な歩行速度(変化の平均に対する95%信頼区間;FDS0.11〜0.17m/s,AFO0.12〜0.18m/s)および速い歩行速度に有意な改善をみとめた.しかしながら,群間比較においては歩行速度に有意差をみとめなかった.二次評価項目(身体構造および機能,活動,参加の標準的評価)は両群とも有意に改善したが,一方,使用満足度はFDS群がコントロール群よりも有意に高かった.
結論ー30週間のFDSまたはAFOの使用は,歩行速度や他の機能評価項目において臨床的かつ統計学的に有意な改善を示した.使用満足度はFDS群がより高かった.両群とも介入を受けたけれども,この大規模臨床試験では,初期に理学療法セッションを併用したFDSまたはAFOが脳卒中発症から数年を経過していても,統計学的に有意で臨床的に意味のある効果をもたらすというエビデンスが得られた.



歩行電気刺激装置(L300)と短下肢装具の効果を慢性期脳卒中患者で比較した研究である.
この種の研究としては,比較的大規模な他施設研究での盲検化RCTであり,研究の質は高いのだが,結果は両者の効果は同等というものであった.
電気刺激装置の側から見ると,標準的治療である短下肢装具と効果が同等というのは(まして慢性期の患者なら)悪くない結果と言えないこともないが,コスト的に見合わないため少々残念な結果といえる.

考えなければならないのは,歩行能力を速度や自立度だけでは評価しきれないという可能性である.歩行の対称性やエネルギー効率,実生活での歩行距離といった因子も重要な要素であり,このような因子なら有意差が出ていたかもしれない(実生活での歩数では差がなかったようだが).

なお,この論文で紹介されているこの図は,大変わかりやすく,私もよく引用している.
少なくとも治療効果の面では電気刺激のほうが軍配が上がると予測されるので,それを明らかにできるような説得力のある評価法が必要であろう.


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例:Love Is Having Not to Say I'm Sorry -> LIHNtSIS

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