2015年3月5日木曜日

下肢不全片麻痺における運動再学習のための腓骨神経表面刺激のランダム化比較対照試験



下肢不全片麻痺における運動再学習のための腓骨神経表面刺激のランダム化比較対照試験

 











抄録
目的ー脳卒中慢性期患者において,下肢運動障害,活動制限,QOLへの効果への運動再学習の効果を腓骨神経表面刺激と通常の治療で比較する.
デザインー単盲検化ランダム化比較対照試験.
環境ー学術センターの教育病院
参加者ー脳卒中慢性期患者(発症後12週以上)で,片麻痺があり,背屈筋力がMedical Research Council scaleで4/5以下の患者10人.
介入ー被検者は運動障害のレベルで階層化され,それから腓骨神経表面刺激または通常の治療(短下肢装具か装具なし)での歩行訓練にランダムに振り分けた.被検者は12週の治療を受け,治療から6ヶ月後に追跡調査された.
主要評価項目ーFugl-Meyer(FM)の下肢項目(運動障害),器具なしでのModified Emory Functional Ambulation Profile(mEFAP)(機能的歩行),Stroke Specific Quality of Life(SSQOL) scale.
結果ーFM,mEFAP,SSQOLの素点には時間の相互作用による群間の有意差はなかった(p>0.05).3つの素点に有意な時間効果があった(p<0.05).しかしながら,ベースライン(T1)から治療終了時(T2,12週後)および,治療終了から12週後(T3),24週後(T4)での変化の平均を比較すると,有意差はmEFAPとSSQOLのみにみとめた.mEFAPとSSQOLの平均値における差は,T1とT2の間で生じ,その後は比較的一定だった.
結論ーPNSと通常治療群の間で下肢運動障害における運動再学習効果のエビデンスはなかった.しかしながら,PNS群も通常治療群も,治療期間中に機能的歩行とQOLに有意な改善を示し,6ヶ月後の追跡調査でも維持された.




脳卒中慢性期の片麻痺における歩行電気刺激装置と短下肢装具を比較した多施設研究.
この種の研究では対象数も多く,質の高い研究であるが,電気刺激の優位性は示すことができず,歩行改善の効果はあったが,短下肢装具と比べて非劣性という結果にとどまった.

ただ,この種の研究では,データにしやすいパラメータ,つまり歩行速度や筋力のスコアといった数値が評価項目になりやすい.一方,電気刺激はもっと数値にしにくい「歩行の質」に効果がありそうな気がする.
この部分で結果を出すのは大変そうではあるが,そこまで踏み込まないと,電気刺激の有効性は証明しにくいのではないか.


全文訳はこちら
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例:Proof is Stronger than Reason. -> PiStR

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